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11月の最終週。
厨房には、苺・生クリーム・チョコレート・ナッツが山のように並びます。
そう、いよいよ「クリスマスケーキ」の仕込みが始まるのです。
「クリスマスケーキご予約受付中」
この貼り紙が出ると、店内の空気が一気に変わります。
お客様の顔にも、スタッフの顔にも、少し緊張が走ります。
予約リストを整理し、スポンジの焼き数を計算し、
生クリームの発注を数百リットル単位で行う。
ケーキ屋の11月末は、まさに“戦いの準備期間”です。
クリスマスケーキに欠かせない苺。
実は11月下旬が初物の時期です。
形が整っていて色づきが鮮やかな“あまおう”や“とちおとめ”が登場し、
パティシエたちは一粒ずつ状態を確認します。
苺は冷気に弱く、温度差で傷みやすい。
だからこそ、保存庫の温度・湿度の管理も細心の注意が必要です。
ケーキ屋のクリスマスは“設計図”から始まります。
1台のショートケーキに使うスポンジの厚み、
クリームの層の重なり、苺の配置、ホイップの高さ。
すべてがミリ単位の精度で決められています。
見た目の均一さ、カットしたときの断面美。
それらを支えるのは、11月に行われる数週間の“仕込み練習”です。
11月は、ケーキ屋がもっとも静かに燃える月。
甘い香りの裏で、黙々とスポンジを焼き、苺を選び、飾りを整える。
そのすべてが12月24日の“笑顔”につながっていく。
ケーキ屋の一年は、まるでコース料理のようにリズムがあります。
その中で11月は、“準備と期待が重なる前奏曲”。
オーブンの灯りが、冬の訪れを告げています。